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賃上げ税制

先週、久々に高熱を出して寝込んでいました。歳を取ると回復するのにも時間がかかるようになったと実感しています・・・ さて、寝込んでいるうちに令和6年度の税制改正が国会を通過しました。毎年改正が行われて税理士でも毎年キャッチアップするのが大変ではあるのですが、今年度の法人税関連で注目すべきは「賃上げ税制」と個人的には考えています。 「賃上げ税制」自体は従前あった制度ではありますが、今年度の改正で控除率の変更や新たな上乗せ措置が追加されています。ただ、それ以上に控除を5年間繰り越せるという措置が新設された点が大きな変更点です。 どういうことかというと、この制度はそもそも納税する法人税が生じたときにその税額を減らすというもので、赤字企業にとっては無縁でした。ただ、当年度は赤字でも翌期以降のために人材に投資し、人件費が前年比で増加するということはあり得ます。 従前の制度ではこのような場合でも当年度に法人税負担がないため「賃上げ税制」の恩恵を受けることができませんでした(人件費の増加という投資を踏んでいるにもかかわらずです)。 そこで、当年度に赤字でも翌期以降5年間に黒字になって法人税の納税が生じる場合、その年度に「賃上げ税制」の適用をして法人税負担を減らすことができるようになります。 非常に良い制度ではあるのですが、実務観点では赤字になって法人税が発生しない年度についても将来に繰り越せる金額がないかの確認をし、適用できそうであればその年度の法人税申告書でその旨を申告するという手続きが必要になります。 会計事務所目線ではこれが決算申告作業において+αの業務となり正直面倒ということにはなるのですが、会社目線では赤字年度でも繰越の手続きが行われているかという点はチェックすべきということになります。 「賃上げ税制」は数少ないキャッシュアウトを伴わない良い節税対策です。ぜひ適用漏れが無いようにしたいものです。

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